karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

チャイコフスキーの5番決定版!

チャイコフスキー交響曲は何番が好きですか?

 恐らく、多くの方は4番~6番を選ぶのではないでしょうか。1番~3番もなかなか味がある曲ですが、パッと旋律が浮かぶのはやはり私も4番~6番ですね。演奏も4番~6番はしたことがありますが、最初の3曲は演奏したことがありません。(1番は演奏する機会はあったのですが、諸事情でその演奏会に不参加になってしまいました)

 

 私の大好きなカラヤンチャイコフスキーを得意としていたと思います。重要な演奏会ではチャイコフスキー交響曲が入っていました。最後の来日公演(1988年5月)では6番の「悲愴」を演奏しています。6番は何度もレコーディングしたことで知られていますね。1番から6番まで全曲録音していますが、4番~6番は複数録音があり、CDで耳にすることができます。ベルリン・フィルとはアナログ録音ですが、ウィーン・フィルとはデジタル録音が残されています。ブルックナー同様、どちらのオーケストラの演奏も魅力的だと思います。是非聴き比べてみて下さい。

 

 さて、本題に戻りましょう。どの交響曲が好きかですが、私は「5番」が好きです。特に4楽章の最後のフェルマータ後のコーダの壮大なメロディーがたまりません♬

 カラヤンの5番の録音の中ではベルリン・フィルとの演奏が好きです。ウィーン・フィル版もいいのですが、ちょっと金管の音が私の耳には強く聴こえるのと、コーダのテンポがほんの少しだけ速い気がするんです。ベルリン・フィルの方がたっぷりとした感じで、金管も分厚いサウンドがバランスよく響いてくるので、個人的にはベルリン・フィル版をお勧めします。その中でも1979年の来日公演(普門館ライブ)がお気に入りです。この演奏はNHKクラシカル カラヤンの生誕100周年BOXに収録されています。(1979年の来日公演(未完成交響曲展覧会の絵ヴェルディのレクイエム等や50年代の来日公演での英雄の他、DVDでドヴォルザークの8番、タンホイザー序曲・トリスタンとイゾルデの愛の死のドレスリハーサルも観ることができます)

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 ライブなのでオーケストラの入場から音声が収録されていて、拍手もカットされることなく収められています。演奏する前から異常な聴衆の興奮が感じ取れます。と同時に、演奏はミスも当然しています。特に目立ったのが1楽章。演奏中に譜面台が倒れたようで、ホルンが思いっきり音を外してしまいます。(そのことは解説にも書かれています)でも、そんなミスをものともしない立派な演奏です。

 カラヤン以外でもムラヴィンスキーチャイコフスキーも素晴らしいと思いますが、とりわけ私がお気に入りの演奏があります。それがこちらの演奏です。

 

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 スヴェトラーノフ指揮・NHK交響楽団の演奏です。昔から気に入っていた演奏だったのですが、つい最近、CDを手に入れました。この演奏は知る人ぞ知る伝説の名演なのです。NHK交響楽団の特集をやるとマタチッチのブルックナーの8番と、このスヴェトラーノフチャイコフスキーの5番が必ずといっていいほど取り上げられています。とにかくN響の音が尋常じゃないくらい凄い!(普段も素晴らしいんですよ!ですが、別のオーケストラかと思うくらい凄い良い響きを出しています。)恐らくオーケストラの気合の入り方が違ったのではないでしょうか。(ライブ録音なのでミスはやはりそれなりにありますが)

 この演奏の様子は当時のN響アワーで放送されました。また、伝説の名演等のテレビ番組でも再三放送されています。私はN響アワーを観ました。当時、スヴェトラーノフのことはあまり知りませんでした。なので、何の先入観もなくTVで聴いていたのですが、1楽章が始まってからすぐにこの演奏に釘付けになったのを今でもはっきりと覚えています。2楽章のホルンのソロも絶品でした。(松崎さんという当時の主席の方が吹き、演奏後には指揮台にスヴェトラーノフが連れて行くほどでした♬)いよいよ4楽章のフェルマータ後コーダがスタートしました。私の好きなたっぷりとしたテンポです。そしてしばらく音楽が流れていき、ふと画面に目をやると、なんと、指揮者、スヴェトラーノフは指揮をやめ、直立不動で立っているではありませんか!指揮者は何もしていないのにどっしりとした響きのあのテーマが流れてくるのです。その衝撃は今でも忘れられません。本当の音楽ってこういうものなんだ!と心からそう思いました。究極の指揮とはこういうことなのですね。うまく言葉にできませんが、かっこよく指揮をする必要はない。うまく棒を振る必要もない。何もしなくてもオーケストラに音楽を奏でさせてしまう。これが最高の指揮者の仕事だと思いました。

 このCDを手にして、当時の感動を思い出しました。実はこの演奏が放送された直後に実際にこの演奏に参加した金管奏者の先生と会って話をしました。その先生も「凄かった。普通じゃなかった。」と興奮して仰っていました。聴いていた私よりも、実際に演奏した方々の方が貴重な体験をなされたのかもしれないですね。

 私もこんな演奏をしたり、指揮することができたらいいなぁと改めて思いました。(私なんかがスヴェトラーノフの真似をして直立不動の指揮をした瞬間、演奏は大崩壊してしまうでしょうから、やめた方がよさそうですね)そのためのも、コロナが収まってくれないと‥‥‥。