いやぁ~、暑いですね!体が溶けてしまいそうな毎日が続きますね。こんな時は、家で涼しい中で音楽を聴いたり、読書するのが一番ですね!
さて、本日は軽めの曲で、しかもパアッ~と気持ちが明るくなる曲について触れていきたいと思います。
その曲とは、スッペ作曲の「軽騎兵」序曲です。曲名で「?」となった方も、冒頭のトランペットのファンファーレを聴けば、「あ!あの曲か♬」と分かる方が多いのではないでしょうか。
「軽騎兵」序曲との出会い
私がこの曲を知ったきっかけは、中学校の吹奏楽でこの曲を演奏することになったことでした。自分はトランペットを吹いていたこともあり、とても楽しんでこの曲を練習した記憶があります。また、高校時代は指揮者としてこの曲に挑戦したので、色々と思い出深い曲なんです。それと、この曲を勉強していくなかで、「調性」の大切さを学ぶことができました。吹奏楽経験者の方はお分かりかと思いますが、この曲を吹奏楽バージョンで演奏すると、トランペットの「ド」の音からスタートします。トランペットにとって「ド」はとても吹きやすく、明るい音が出せます。ところが、原曲のオーケストラバージョンで聴くと、衝撃が走ります。「ド」の音で始まっていないんです。実は、スッペはトランペットの「シ」の音からこの曲を始めているんです。中学生の頃は参考のオーケストラの音源を聴いて、そのあとトランペットで演奏しても別に何とも思いませんでした。ところが、少し耳が肥えてきて、知識がついてきた高校生の時に、吹奏楽のスコアを見ながら、久々にオーケストラの音源を聴いてみると「音が違う!」ではありませんか。要するに、吹奏楽版では、吹きやすいように、調性を変えて編曲してしまっているんですよね。もちろん原曲の調に忠実な編曲を行っている曲も多々あるのですが、意外にクラシックの吹奏楽編曲版は調性が違っていることが多い気がします。
なので、原曲の「シ」から始まる音源を聴くと、やや音色が暗く感じると思うんです。この頭の音だけでもだいぶイメージが変わるんだということにこの時、気づくことができてよかったと思っています。
カラヤン&ベルリン・フィルの「軽騎兵」序曲
この「軽騎兵」序曲、比較的誰が演奏してもあまりひどい結果にはならないのですが、やはりオーケストラの豪華さでいったら、カラヤン&ベルリン・フィルの演奏が素晴らしいのではないかと思います。その演奏がこちらです。1969年の録音です。ちなみに、この演奏を中学、高校とデモ音源として聴いていました(その頃はレコードからカセットテープにダビングして、何度も何度も聴いていました。カセットテープって死語ですかね?)

それともう一つの演奏。これは1978年のジルヴェスターコンサートで演奏されたものです。こちらは映像作品として販売されています。それがこちらです。

冒頭のトランペットは本当にゴージャス!一瞬、チャイコフスキー交響曲4番?と思うかもしれませんね。最初は、どちらの演奏も同じような印象を受けたのですが、ファンファーレが終わり、4拍子の速く、暗めのテーマが奏でられます。ここは「戦い」の場面を描いているようです。確かに、冒頭の華やかさに比べると、シリアスな感じの音楽に転換しています。
ここで「あれ?」と思ったんです。デモ音源として聴いていたテンポよりも、ジルヴェスターコンサートでの演奏の方が速い!もしかすると速くないのかもしれませんが、私には明らかに速く聴こえます。そして、自分で指揮をしていた時、この部分は4拍子ということで、4拍で振っていました、なんと、この映像ではカラヤンは2拍振りをしているではありませんか!4拍振りと2拍振り。視覚的にこれだけでもテンポは違って感じられるかもしれませんね。個人的には映像のこの部分はちょっと速すぎる気がしています。スリリングでいいという人もいるかもしれませんね。
次に有名なギャロップの音楽。冒頭とこの部分で認知されていると思います。このギャロップは「軽騎兵の行進」とのこと。本当に軽やかに馬が前を通り抜けていく絵が浮かんできます。この部分は2つの演奏、そう相違はないように感じました。実にトランペットが軽やかにハイトーンを含めて響いてきます。続いて、地から湧いてくるように弦楽器がメロディーをゴージャスに演奏します。ここの楽器の引継ぎは天下一品ですよ♫
次に暗い音楽に転換していきます。ここは「友の死」の場面。「友の死」と知識がなくても、お墓の前で祈っているシーンが浮かんできそうな音楽です。ここでも「おや?」と思いました。デモ音源として聴いていた演奏は、カラヤンらしく、レガートたっぷり、そしてテンポも遅く、いい意味で粘ってます。この粘りのおかげで哀愁がいっそう深まっているように私は感じるのですが、この遅い粘りを批判する方々も一定数いるようですね。
ところがです。映像版のテンポは速い!ここはなんとなくの感覚ではなく、ジルヴェスターコンサートの方が明らかに速いです。ただし、この「速い」といったこのテンポも、他の指揮者のテンポと同じ、もしくはやや遅いんです。なので、いかにデモ演奏のテンポが遅いかお分かりいただけるでしょう。
そして曲は再びギャロップの音楽に戻り、クライマックスを迎えます。このクライマックス、様々な解釈があり、比較的多くの指揮者が最後のファンファーレでテンポを急に落とし、その後、アチェルランドをかけて一気に曲を終わらせる感じです。ところが、カラヤンは特にテンポを変えません。淡々と音楽を進め、やや最後を速くして盛り上げて曲を終える感じです。私はこのスタイルに慣れているため、最後のテンポをあまりいじらずに演奏していました。ところが、やはりこのジルヴェスターコンサートの演奏は何かが違う。テンポが急激に落ちるわけではないのですが、ややテンポを変えて最後のファンファーレに飛び込みます。あまり解釈が変わらないことで有名なカラヤンにしては、8分足らずの小品でここまでテンポ感が変わるのは珍しいことだと思います。
ですが、どちらの演奏も最後の音をバッチリ決めて、爽快感を与えてくれます。
最後の音が編集されている?
というわけで、気持ちよく曲を聴き終えたわけですが、ジルヴェスターコンサートの演奏にこんなエピソードがあるんです。「最後、カラヤンの指揮がいい加減でぐちゃぐちゃになっていたはず」「最後の部分で演奏が大乱れになった」などです。この映像作品を観ただけではそんなことは分かりませんが、どうやら最後の部分が編集されていると言われています。確かに、曲の最後、気持ちよくなっているのか、カラヤンはしっかりとは指揮していないんです。いい意味でオケに任せています。カラヤンは結構この手のミスは犯していまして、タンホイザー序曲のリハーサルでもたびたび最後の音の入りの合図が曖昧で、オケが崩壊しているんですよね。この件についてはこちらの記事で綴っております。
karajanjan.hatenablog.com
編集をしているという意味では確かにしているのでしょう。しかしです、皆さんは、ベルリン・フィルのジルヴェスターコンサートやウィーン・フィルのニューイヤーコンサート、同じプログラムで前日にも行われているということをご存知でしょうか?もしかすると2日間分の収録を行っていて、うまくいった演奏を採用してつなぎ合わせて1つの商品としている可能性は大いにあると思います。なので、最後の音だけを編集したのではなく、「軽騎兵」序曲まるまる成功した日の映像を採用した可能性があるとうことです。これは他の指揮者も行っていることなので、批判に値しないとは思いますが、「曲の切り貼りはよくない」といったコメントは少なからずあるようですね。
演奏会で最後の音が乱れたことは、当日、会場にいた方のコメントなどから確かなのでしょう。しかし、そのテイクではない映像を使っているのであれば、なんら不思議なことはありませんね。
なぜこれほど速さが違ったのか?
先程、テンポの違いで驚いたことを何度か書きましたが、このジルヴェスターコンサートの演奏、他の曲についてもいつもより速い箇所が多々あるんです。
1曲目がヴェルディの「運命の力」序曲なのですが、カラヤンはこの曲の冒頭6つの金管の音。かなり遅めに演奏していました。ですが、この演奏はいつもより短めで、テンポも速い。
ビゼーの「アルルの女」第2組曲の1曲目「パストラーレ」もCDの録音ではかなりゆったりしたテンポどりなのに、この映像ではあっさり気味。
トータル的にこの映像での演奏はなぜかいつものカラヤンよりもせせこましいテンポ設定になっています。この理由は全くもってわかりません。もしかしたら、早くコンサートを終えて、家で新年をゆっくりと迎えたかったのでしょうかね?でも、曲を大事にしないカラヤンはあり得ない気がするのですが‥‥。永遠の謎ですね。
というわけで、今回は小品にスポットをあてて綴ってみました。皆さんも、あまり演奏会では取り上げられないけれど、お気に入りの小品はありますか?ありましたら、コメント、お願いいたします♫