karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

2023年ウィーン・フィル・ニューイヤーコンサート(第1部)

今回は今年のウィーン・フィルニューイヤーコンサート第1部の感想を綴ろうと思います。

今回の指揮はニューイヤーコンサート2度目の登場のフランツ・ヴェルザー=メストでした。淡白な指揮ぶりですが、見た目と違い厚い音が出る方だなぁと思っています。(その逆がレヴァインでした。重たい音が出てくると思いきや出てきたサウンドは軽めと感じたのは私だけですかね?)

 

今回のコンサートの特徴は第2部最後の曲以外はすべてニューイヤーコンサート初登場ということでした。色々なところでこの点は取り上げられていますよね。特にヨーゼフ・シュトラウスの作品が多い(第2部)という点も面白いですね。

 

                

さて、第1部の曲は

1. エドゥアルト・シュトラウスポルカ・シュネル『誰が一緒に踊るの?』 Op.251
2. ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『英雄の詩』 Op.87
3. ヨハン・シュトラウス2世:『ジプシー男爵』のカドリーユ Op.422
4. カール・ミヒャエル・ツィーラー:ワルツ『心地よい夜に』 Op.488

5. ヨハン・シュトラウス2世ポルカ・シュネル『元気に行こう!』 Op.386

(曲名はHMVのサイトの表記を引用させて頂きました)

 

初登場の曲が多いということでしたが、正直に申しますと、シュトラウスの曲はよく似ているので、初めて聴いた感じはしませんでした。(特に1曲目と5曲目)とはいうものの、よく聴くと知らないフレーズもふんだんに出てきているので、楽しく聴くことができました。

私が特に気に入ったのが2曲目の「英雄の詩」です。自分がトランペットを吹いてたということもあり、トランペットのファンファーレで始まった時点で「おっ!」と思いました。そんなかっこいいオープニングのこの曲、実はワルツなんです。途中からお得意の「ズン・チャッ・チャッ♪」となるわけですが、今回のウィーンなまりは物凄かったですね。コンサート前のトークでもメストが特にウィーンなまりに拘っていたと話していましたが、本当に2拍目と3拍目の間がいつもよりも長かったように感じました。いい意味でのウィーンなまりをしっかり聴けたのはカラヤン以来ではないかと思います。これはオーストリア出身の指揮者とウィーン・フィルの組み合わせになった時に自然と生まれるリズムなのかもしれませんね。

3曲目は「ジプシー男爵」のカドリーユでした。この曲自体は初登場なのでしょうが、「ジプシー男爵」序曲はニューイヤーコンサートで、カラヤンクライバーも演奏しているので、お馴染みの旋律が(調は違いますが)流れてきていました。個人的には序曲の方が面白くて好きですね。(カドリーユは「こうもり」にもあり、過去に演奏されました)

4曲目はシュトラウス一家ではなく、ツィーラーのワルツ。ツィーラーもウィーンを代表するワルツの作曲家として有名で、よくニューイヤーコンサートで取り上げられていますね。個人的にはシュトラウスのワルツとちょっと違っていて、いい意味でさらっと楽しく聴けたように思います。

さて、今回の第1部で2曲目と4曲目でワルツを演奏したわけですが、2曲目は曲は壮大で素晴らしかったと思いますが、映像を見ていて、若干、メストが演奏したいテンポよりもウィーン・フィルの演奏が遅かったように思います。メストが前に行こうと思いっきりタクトを振っているのですが、ウィーン・フィルは自分たちのテンポで悠々と弾いている。この駆け引きがある意味面白かったと思います。ですが、しばらく音楽が流れると両者が自然と歩み寄り、一体化した音楽が展開されていました。この歩み寄りの過程でこだわったウィーンなかりが出たのかもしれませんね。逆に4曲目のワルツはメストのタクト通りに音楽が進んでいましたがその分、ウィーンなまりは少なかったかもしれません。

全体的に素晴らしい演奏会だと思いますが、第1部を聴いた限り、若干フレーズの終わり方、ハーモニーのずれがちょっと気になりました。これが初めて演奏する曲のせいなのか、団員の構成の変化なのかわかりませんが、演奏の精度という点からすると?の部分があったかなぁと思います。個人的に今までのニューイヤーコンサートでも演奏の精度がよくないと思った年もいくつかありましたが、それに比べると良かったと思います。(ある団員は、「ニューイヤーコンサートだからって、普段よりも多く練習しているわけではない」と言っていました。)

 

第1部の個人的な感想は以上です。次回は第2部の感想を綴っていきたいと思います。