karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

歌劇の題名

最近、急にある歌劇(正式には「楽劇」)が聴きたくなり、普段はあまり行かない中古CDショップへふらりと立ち寄ると、なんと、聴きたかったCDがとてもきれいな状態で売っていたんです。もちろん、即、購入しました。そのCDがこちらです。

          

もうこのCDは廃盤になって久しいので、フリップケースがかなりボロボロの状態で店頭に並んではいるのですが、きれいな状態で売っているのは今まで見かけませんでした。ところが、今回、まず見た目が綺麗でビックリして手にしてみると、帯までついていました。別に帯はなくても問題はないのですが、それだけ保存状態がよかったということですね。とってもハッピーな気分になりました♫

この作品は聴くのに長時間かかるので、その感想はまた今度綴ることにして、このCDのジャケットを見ていてふと思ったことがありました。

         楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー

普通に聴きなれた楽劇、曲の名前ですよね。しかし、私、中学生だったころ、この曲で勘違いをしたことがあったんです。その当時は、図書館でレコードを借りては色々な曲を聴いてました。もちろんその当時から「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は知っていました。また、ワーグナーがその当時から好きだったので、ワーグナーの他の歌劇や作品もそれなりに知っていました。ところが、ある日、1枚のレコードが目に飛び込んできたんです。それが、クレンペラー指揮の゛「ニュルンベルクの名歌手」第1幕への前奏曲”とジャケットに書かれていたレコード。おそらく高校生、大学生であれば、こんな勘違いはしなかったと思いますが、なにせ英語を学びたての中学1年生であったこともあり、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」と名前は似ているが、違う楽劇もあったんだ!と喜び勇んで、そのレコードを借りて、すぐさま家で再生しました。すると、例の「ちゃぁ~ん、ちゃぁ~、ちゃぁ、ちゃぁ~ん」のあのテーマが流れてきました。その時、「マイスタージンガー」と「名歌手」は同じ意味なんだ‥‥。と理解したわけです。まあ、「マイスタージンガー」はドイツ語なので、英語を習っていてもうまく理解がつながらないかもしれませんが、「ジンガー」=「シンガー」くらいは冷静に考えればわかりそうなものですよね。自分がちょっと恥ずかしくなりました。

このCDを眺めていて、ふと、そんな思い出が蘇ったのですが、よく考えると「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は「の」という日本語は入ってますが、ほぼ原題のまま認知されていますよね。それは他にも「トリスタンとイゾルデ」や、「ぺレアスとメリザンド」もそうでが、ほぼ原題のままの歌劇や楽劇は基本的に人名や地名のものが多いと思うんです。「カルメン」、「ドン・ジョバンニ」、「トスカ」、「ファルスタッフ」などは固有名詞なので、特に日本語に訳す必要はないですよね。無理に訳すと、作曲家のバッハは「小川さん」と訳さなければいけなくなりますからね。

一方で、きちんと日本語に訳されているものも多くあります。例えば「フィガロの結婚」、「魔笛」、「薔薇の騎士」、「蝶々夫人」、「運命の力」、「神々の黄昏」。人名が入るものもありますが、日本語として理解できる題名になっています。

ところが、今回の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」はどうでしょう?「マイスタージンガー」はドイツ語のままでいいでしょうか?有名な歌劇で、なぜか日本語の訳ではなく、原題のまま広まっている歌劇がいくつかありますよね。例えば「ラ・ボエーム」。プッチーニの有名な歌劇ですが、「ボエーム」とは文学青年や若き芸術家のことを意味しているそうです。確かに、登場人物は詩人・画家・音楽家・哲学家などが中心人物として描かれていますね。でも「ボエーム」のまま知られています。また、「カヴァレリア・ルスティカーナ」も原題のまま知られているマスカーニの代表作ですね。「田舎の騎士道」といった意味だそうです。レハールの「メリー・ウィドウ」も「陽気な未亡人」という意味だそうですが、英語の題名で広まっています。(この作品は原題はドイツ語のようですね)

さて、ここにあげた4つの作品。なぜ日本語としての題名になっていないのでしょうか?日本語に直さないと意味が分からない題名だと思うのですが、そのままになっています。では、もういちど原題と日本語訳を比較してみましょう。

ニュルンベルクのマイスタージンガー」→「ニュルンベルクの名歌手」

ラ・ボエーム」→「若き芸術家集団」

「カヴァレリア・ルスティカーナ」→「田舎の騎士道」

メリー・ウィドウ」→「陽気な未亡人」

どうですか、単純に日本語にすると格好悪くなっていませんか?慣れで、原題の方がいいと刷り込まれているかもしれませんが、変に日本語訳に直されているよりも、そのままの方が響きとしてもカッコいいと感じるのはわたしだけでしょうか?(そういう意味で言えば、ワーグナーの「神々の黄昏」も原題「ゲッターデンメルング」の方がカッコいいかもしれませんが)なんとなく、訳してみて、しっくりこなかった場合、そのままの題名として紹介されているのかもしれませんね。

今回は、ふと、日本語訳されている歌劇とそうでない歌劇のことを考えてしまいました。音楽の中身とは全く縁遠い話ですみませんでした。おそらく、他にも日本語訳になっていないそのままでは意味がとりづらい題名の曲があると思います。もし、他に思いつきましたら、是非教えて下さいね。