karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

ニューイヤーコンサートのプログラム

今日は連休最終日ですね。明日からしっかり仕事モードにギアを入れ替えないと。

先程、録画しておいた2024年のウィーン・フィルニューイヤーコンサートを聴き(観)終わりました。指揮はクリスティアンティーレマン。個人的にはそれほど好きな指揮者ではないのですが、ムジークフェラインの聴衆は大興奮だったようですね。いつも以上に聴衆からの声が聴こえてきた気がします。とてもいい雰囲気のコンサートだったのでしょうね。特に今回はブルックナーの生誕200年にあたる年なので、ニューイヤーコンサート初のブルックナー作品が登場したことが大きな話題だったのではないかと思います。実際、ブルックナーの曲を聴いてみると、あの重厚さは微塵も感じられない、軽いコンサートや舞踏会にはぴったりの曲でした。とてもいい選曲だったのではないでしょうか。NHKの放送ではブルックナーの私生活の部分も少し解説していたので、このような踊れる曲を作ったことにも合点がいきました。

さて、今回は、ニューイヤーコンサートの曲目についての話です。ワルツ「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」がアンコールとして毎回演奏されるのはご存知だと思います。これは伝統としてありですよね。それ以外のコンサートの曲は指揮者と楽団が色々と相談をして決めています。その事はコンサート前の解説やCD等のライナーでも説明されています。その年の記念になる作曲家を選んだり、初演奏の曲を多く並べてみたり、メストのようにヨーゼフ・シュトラウスにこだわってみたりと趣向を凝らしていると思います。シュトラウス一家のある種似たような音楽の中から色々な違いを味わってもらおうと考えているのだと思います。なので、ここ10年くらいの演奏曲目を見てみると、知らない曲がかなり多いなぁという印象を受けます。もしかすると、この後聴くことないワルツやポルカがあるかもしれませんね。

そこで、ふと、私の所有しているニューイヤーコンサートのCD、DVD等の曲を眺めてました。CDの収録曲に関しては、昔の記事でもアップしましたので、よろしければお読みください。(2021年12月の記事です)

指揮者の契約しているレコード会社からそれぞれニューイヤーコンサートのCDがリリースされているわけですが、ここ20年くらいはコンサートの1部、2部全て収録されたCDが販売されるようになりました。1980年代~90年代初めのカラヤンアバドクライバーが指揮をしたコンサートのCDは全曲ではなく、12曲~15曲くらい収録されています。テレビでのニューイヤーコンサートの放送は第2部からの約1時間半ほどでしたが、次第に第1部から放送するようになり、2時間~3時間放送してくれるようになりました。(衛星放送では1部から、HNKの普通の放送では2部からという感じだったと思います)というわけで、カラヤンアバドニューイヤーコンサートのCDはハイライト盤のような感じなんです。クライバーは後になって、全曲収録のCDが発売されましたね。しかもカラヤンの1987年のCDは曲順も入れ替えてあるので、「コンサートをそのままに!」というわけにはいかない内容になっています。でも、演奏は素晴らしいし、臨場感もバッチりです。(全てを有りのままに体験したいという願望とは少しずれてしまうというだけです。)

ちなみに、私が所有しているCDはカラヤンアバド2枚です。

      

間の89年はクライバーが、90年はズービン・メータが指揮を務めていたと思います。カラヤン以前はロリン・マゼールが長い間指揮を任されていましたね。マゼールのコンサートの完全版も私は現時点では見たことがありません。ダイジェスト版はたまに中古CD店で見かけます。

これらのCDとDVD、あわせてクライバーの1989年と1992年のDVDで曲を確認してみたところ、結構数年の間で曲がかぶっているんです。

まず。喜歌劇「こうもり」序曲。1987年カラヤン・1988年アバド・1989年クライバーと3年連続で取り上げられています。

「ピッチカート・ポルカ」とワルツ「春の声」は1987年カラヤン・1989年クライバー

「新ピッチカート・ポルカ」は1988年アバド・1992年クライバー

「常動曲」は1987年カラヤン・1988年アバド

皇帝円舞曲」は1987年カラヤン・1991年アバド

「トリッチ・トラッチ・ポルカ」は1988年アバド・1992年クライバー(1990年メータもやっていた気がします)

そして、カラヤンが取り上げた曲と1992年にクライバーが取り上げた曲。ものすごくだぶっているんです。

ポルカ「観光列車」

喜歌劇「ジプシー男爵」序曲

ワルツ「天体の音楽」

ポルカ「雷鳴と電光」

アンコールの2曲を入れると、全プログラム中6曲が同じ。かなり意図的だと思いませんか?クライバーはものすごくカラヤンことを尊敬していたようです。カラヤンもまたクライバーの才能を高く評価していましたが、「彼は冷蔵庫の中身がなくならないと指揮をしてくれないから」と自分の後釜には据えたいけれど据えられないと思っていたようですが、お互い心を許し合っていた仲のようです。2人とも気難し人物で有名ですから、その2人の仲がいいというのも面白いですね。ですから、このニューイヤーコンサートはある種、カラヤンへのオマージュなのではないかと勝手に思っています。

というわけで、私の比較的好きな指揮者3名のニューイヤーコンサートの曲目を調査した結果、これほど曲がかぶっていることが分かりました。かぶっているという考え方もできますが、もしかすると、多くの人が知っていて、ニューイヤーコンサートに聴きたいと思っている曲がこの5年間くらいに集中したのかもしれませんね。いわば王道中の王道のシュトラウスの曲なわけです。演奏する側にとっては意外とリスキーですよね。みんなが知っているのであれば、ミス1つできない。そんな曲を堂々とプログラムに組める、素晴らしい指揮者たちだったのでしょう(決して、最近指揮を担当している指揮者がダメだと言いたいわけではありません)。

そして、来年の指揮者は再びリッカルド・ムーティが担当すると発表がありました。ムーティなら、王道プログラムもありでは?と勝手な想像を膨らましております。