karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

メンデルスゾーン 交響曲第2番「讃歌」

前回、メンデルスゾーン交響曲について綴ってみました。1番&5番のCDを聴いた後、2番「讃歌」を改めて聴き直してみたのですが、偶然にも、その翌日にクラシックについて語った人がメンデルスゾーン好きの方でした。しかも2番が好きとのこと。他にもここ数日で2番を聴いたという人に複数人出会いました。メンデルスゾーンの2番はそれほど頻繁に聴かれる曲ではないと思うので、なんとも不思議な状況です。(「私も昨日『運命』を聴きました!」とか、「ブラームスの1番を聴いた!」はあり得ると思うのですが)

さて、今回、この不思議な縁を取り持ってくれた2番「讃歌」ですが、1840年に印刷技術完成400周年記念祝典に際し依頼されて完成された曲で、実際には4番目に作曲された交響曲なのですが、出版の関係で「2番」となったそうです。

この2番の出だしはトロンボーン3本で奏でられるのですが、初めて聴いた時から「シューベルト交響曲第9(8)番グレートに似ているなぁ‥‥。」と思っていました。このテーマは曲の要所要所に登場します。似ているとは思っていたけれど、それほど気にはしていませんでしたが、今回は「似ている!」と思うだけでは収まらず、ちょっと調べてみました。すると‥‥。

 

 「シューマンが楽譜を発見し、1839年3月21日、メンデルスゾーンの指揮でシューベルトの「グレート」を初演」

 

という内容の記事を見つけました。「グレート」はシューベルトの死後にシューマンがその楽譜を見つけ、ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団の指揮者であったメンデルスゾーンに演奏を依頼したそうです。ということは、メンデルスゾーンにとって、グレートはある意味、重要な作品となったはずです。そのグレートとの出だし(こちらはホルンで奏でられますが)とメンデルスゾーンの2番がどことなく似ているのは偶然の一致なのでしょうか?

個人的に偶然に似たのではなく、グレートを意識して作曲したのではないかと思いました。初演時に「天国的な長さ」と称された「グレート」。実際は60分はかからないのですが(ベートーヴェンの第9番より短いんですよね)、メンデルスゾーンの2番も60分~65分かかる大曲です。フレーズも曲の長さ(スケール)も似通っていると言えるのではないでしょうか。

さらに、作曲された年ですが、「グレート」の初演が1839年です。そして「讃歌」の完成が1840年。絶対、「グレート」の楽譜を見て、演奏して影響されていると思いませんか?

今回、「讃歌」と「グレート」を調べたことで、この2曲の類似性について、自分なりに納得する結果を得られました。この2曲の類似性は、現代においては著作権の関係で問題になる可能性があるかもしれませんが、著作権がなかった時代、「いいものは真似をする」という純粋な気持ちがあったのですね。(音楽に限らず、古文の和歌も「本歌取り」という、いい作品の一部をそのまま使うという修辞技法がありますね)「まね」=「学ぶ」という古き良き時代の考え、私は大好きです。(決して著作権がいらないという意味ではありません)