karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

カラヤンのマーラー(Part1)

今日は久々にゆっくりとできる日だったので、なかなか落ち着いて聴くことができなかった大曲、マーラー交響曲第9番を聴くことにしました♫

ブルックナーはちょくちょく聴いていましたが、マーラーはここのところご無沙汰だったので、ちょっと大きめなボリュームで細かい所まで聴きこもうと意気込んでステレオの前に座りました。

 

本日聴いた音源はカラヤンの数少ないライブレコーディング、1982年のベルリン芸術週間におけるベルリン・フィルとの演奏です。

 

               

 

 カラヤンにとってマーラーはレパートリーではなかったと思います。70年代後半からは4・5・6・9番は演奏会に取り上げたり、録音したりはしていましたが、ベートーヴェンブラームスブルックナーのようにいつも取り上げる作曲家ではありませんでした。(「大地の歌」はかなり昔から取り組んでいたようですが、演奏回数はやはりそれほどではありません)ある本に、カラヤンが「ベルリン・フィルが自分の理想とする音が出せるようになるまでマーラーには手を出さない」といった趣旨のことを言っていたと載っていたように記憶しています。いよいよマーラーに挑戦しようと手をつけたのが5番の交響曲だったようです。

9番の交響曲は1979年にスタジオ録音を残しました。しかし、この録音はいわくつきなんです!(多くの方がご存知かもしれませんが)この年、ベルリン・フィルにあのバーンスタインが生涯でただ1度客演しました。その客演の演目がこのマーラーの9番でした。この演奏会のCDが発売され、発売された当時は、大盛り上がりでした。そのCDがこちらです。

              

 この演奏は私も大好きです。ベルリン・フィルマーラーに不慣れということもあり、演奏のミスはかなりありますが、(とはいっても、演奏が凄いので、ミスなのかどうかはわからないかも?)バーンスタイン世界の音楽が繰り広げられ、圧倒されてしまいます!団員もかなり満足した演奏だったそうですが、この演奏会の直後にカラヤンが録音したことが問題視されていました。バーンスタインは「自分のボーイング(弓使い)を盗んだ!!」と怒ったという逸話もあります。方や、バーンスタインの演奏会の前からカラヤンベルリン・フィルとこの曲を練習をこっそりと始めていたという話もあるので、たまたまバーンスタインの演奏会とカラヤンの録音予定の曲が重なったしまっただけのことかもしれませんが、真相は‥‥‥?

 さて、演奏の方ですが、今回聴いたカラヤンの9番はライブです。ライブなのに(多少修正は施したかもしれませんが)ここまできっちりと演奏できるのか!改めて脱帽です。私には「これがミスだ」と思うところはありません。スタジオ録音のごとくほぼ完璧だと思います。テンポが楽器ごとに合っていない部分はありますが、そこはいい意味で臨場感を味わうことができます。とにかく「綺麗」です。「マーラーは綺麗では済まない!」「もっとドロドロしているべき」とおっしゃる方がいます。それはそれでいいと思います。実は私もそういうマーラーの演奏は大好きです。しかし、カラヤンのこの演奏は、いい意味で「静かなマーラー」、「澄んだマーラー」です。これはこれで素晴らしい、ここまで研ぎ澄まされたマーラーは他にはないと思います。このブログのブルックナー比較の会で私のスタンスを書いたのですが、(「演奏の比較となると、様々なブログで「○○の方が精神性がない」や「△△でなければならない」といったコメントが見受けられますが、ここではあくまで好みを述べたり、語り合う場にしたいと思います。なぜなら、私自身が本当のベートーヴェンモーツァルト、今回取り上げるブルックナーの本質を理解している、あるいは知っているわけではないからです。」)「この曲はこうでなければいけない!」ということは決してないと思います。(演奏法、風習など従うべきことを従っていないのは問題ですが)ですから、こういうマーラーも改めてありだと思いました。

 1楽章、出だしは聴こえないくらいの小さな洗練された音色で奏でられます。極上のベルリン・フィルピアニッシモサウンドです。余計な音を立ててはいけないと誰もが思うでしょう。そして最初に盛り上がる部分に至るのですが、私にとってはその盛り上がり部分のテンポが少し速く感じられます。もう少しゆったり演奏してくれると言うことなしです。金管サウンドは文句なし!(アバドの演奏はウィーン・フィル版、ベルリン・フィル版ともに速すぎで私は好きではありません)分厚く周りを全て包むようないいバランスだと思います。全体を通して、ホルンが遠くから鳴りだし、長いクレッシェンドを経てこちらに届いてくる何とも言えない音の圧を感じ取れます。1楽章はまだ控え目という感じ。これから4楽章に向けて静かに動き出しているようです。

 2楽章はちょっと生真面目な演奏です。装飾音やリズムで弾むようなちょこまかしたような音楽が流れるはずなのですが、カラヤンの性格のせいなのか、この楽章では悪い意味できっちりとした演奏になっています。恐らく楽譜に忠実に正確に演奏しているのだと思いますが、いまひとつ躍動感がない気がします。ウィンナーワルツなどではとても楽し気な躍動感ある音楽を奏でてくれるカラヤンですが、やはりマーラーとなるとそうはいかないのかもしれませんね。正確な3拍子であまり笑いのない音楽が終始流れている印象を受けました。でもとても綺麗な演奏であることは間違いありません。

今回はここまで♫

次回は3,4楽章とその他のマーラーについて綴っていこうと思います。またお付き合いください♪