karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

今日はゆったり「天地創造」

早いものでもう弥生、3月を迎えましたね。

さて、今日は少しゆったりできる時間が持てたので長めの曲を鑑賞しました。ただ、仕事もひとつ片付いたところなので、レクィエムなどの重力級の曲ではなく、比較的ゆったり聴ける曲は?とCDの棚を見渡して、パッと目に入ったのがハイドンの「天地創造」でした。そのCDがこちら。

               

 

この曲はカラヤンのものしか所有していないので今回は演奏比較ではなく、単純なるレビューです。

全曲通しての感想としては、「すんなり聴ける」。この曲、じつはかなりの大曲だと思うんです。編成もかなりい大がかりです。ハイドンというと、意外と小編成で短めの交響曲のイメージをお持ちの方が多いようですが、後期のハイドンは、一般的に「ロンドン交響曲」と呼ばれる交響曲を作曲したあたりは、意外と大編成で演奏されていたことが多かったようです。この「天地創造」も初演は合唱を含めて200人ぐらいの規模での演奏だったようです。かなりの大編成です。ですから、普段、編成が大きく批判の的になっていたカラヤンハイドンも、この曲に関しては問題がないのではないでしょうか。

さて、このCDはザルツブルク音楽祭のライヴレコーディング。カラヤンにしては生前にライヴレコーディングでOKを出したのは珍しいですね。ライヴと称して発売されているものの多くは、カラヤンの死後に発売されましたから。カラヤンがもう少し長生きをしていたら、お蔵入りしていた演奏がいくつかあったかもしれませんね。このCDのライナーにこの演奏会の様子の写真が掲載されています。

              

ウィーン・フィル、ソプラノがエディット・マティステノールがフランシスコ・アライサ、バスがホセ・ヴァン・ダムです。独唱者とカラヤンがうまく映り込んでいますね。こうい写真やジャケットだと、その時の演奏会の様子が味わえて、とてもいいと思います。カラヤンの前に譜面台は無いので、恐らく暗譜で、指揮棒なしで指揮をしていたのでしょう。この長い曲を暗譜とはさすがカラヤンです。しかもこの「天地創造」、この年のザルツブルク音楽祭では1回しか演奏されていないので、その演奏をスコアなしに指揮を執るとは、脱帽ですね。カラヤンにとって「天地創造」はもう得意のレパートリーだったのでしょう。1979年の来日公演でもこの曲がプログラムにありましたね。ところが、この「天地創造」はこのザルツブルク音楽祭以降、カラヤンが亡くなるまでもう演奏されていないんです。ですから、このライヴCDがカラヤン最後の「天地創造」となってしましました。80歳後半のカラヤンの演奏も聴いてみたかったです。

最初の方で述べましたが、大編成のウィーン・フィルとの演奏ですが、いい意味で気張りがなく、さらっと聴いていることができる演奏です。粘られたり、一部分を強調されると、少し胃もたれをおこしそうになるのですが、それが全く起きない演奏です。誰もが耳にしたことのある、大合唱の部分もテンポも軽さも心地よく響いてきます。ただ、違う見方をすると、「この美しい曲♫」といった印象があまり残らないんです。でも、一番有名な第1部の最後、「天は神の栄光を語り」は圧巻です。合唱、独唱すべてが加わった部分ですが、ここはカラヤンのスケールの大きさが効果的にはたらいていると思います。実は、これがカラヤンの計算かもしれません。この1部の最後に1つの頂点をもっていくために、それまでを軽めに仕上げて、いざクライマックスへ!といった作りにしたのかもしれませんね。2部も同様です。最後の「すべての声よ、主にむかいて歌え」の始まりがとても力強く、少し重たく感じます。でも今までの流れを受けているので、わざとらしくなく、「クライマックスだ!」と自然と思わせてくれるんです。今までそんな低音、鳴らしていました?と言わんばかりに重心の低い和音が飛び込んできますよ。

ソリストは、この曲に関しては、個人的にはテノールペーター・シュライアーの方が

いいのかな?と思います。カラヤンも過去にはシュライアーとこの曲を演奏しています。1970年代はシュライアーとの共演が多く、1980年に入ってから、アライサを起用し始めたようですね。

この曲で、1つ思い出があります。カラヤンが1965年のザルツブルク音楽祭で演奏した「天地創造」も発売されました。発売当時は、決定的名盤のような謳い文句だったので、私もさっそく図書館にあったので、借りて聴いてみましたが、あまり響きませんでした。1965年の演奏の方がこってりしているような気がします。比較的重ための「天地創造」を期待している人にはいいかもしれませんね。というわけで、演奏はそれほど気に入らず、ライナーやジャケットを眺めていると、ふと気づいてしまいました。ソプラノの大天使ガブリエルの表記が、「ガブエリル」となっているのと、文章中の名前が何か所か間違っていました。これはまずい!とすぐにレコード会社に連絡をして、「この部分とこの部分がおかしくありませんか?」と伝えたんです。そうしたら、「担当に伝えておきます。」とそっけいない対応。どちらかというと迷惑な指摘をしてきたと言わんばかりの口調でした。後日、違う案件があり、同じレコード会社に連絡をしました。その案件のついでに、「先日、天地創造の件で連絡をしたのですが、その件はどうなっていますか?」と聴いてみたところ、「そのような案件を受けたという記録がありません」と言われました。自分としては親切心のつもりで伝えたのですが、レコード会社からすると迷惑なクレームとして受け止めていたのでしょう。「私としては、せっかく指摘したのに、伝えても頂けていないことにはがっかりしました。」と言ったところ、この時の電話対応の方は、「せっかく、そのように細かく読んでいただいて、ご指摘いただいたにもかかわらず、きちんと対応せずに申し訳ありませんでした。」と謝罪の言葉を述べてくださいました。まあ、ジャケットのミスは実はかなりあるので、私以外にも多くの人が色々な指摘をしているのでしょうね。ちなみに、今回紹介した、ライナーに刻まれている演奏時間も間違っているんです。もうそこまで指摘する気はないんですけどね。

というわけで、今日は「天地創造」のレビューをお届けしました。