karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

ドヴォルザーク チェロ協奏曲

メリークリスマス‼🎄

クリスマスイヴですが、クリスマスとは無縁な記事ですみません。🙇

さて、先日、NHKで日本音楽コンクールのチェロ部門の特集をやっていました。その中で、本選の曲であるドヴォルザークのチェロ協奏曲が色々と取り上げられていました。それに触発されて、ついついCDラックからこの曲を取り出してしまいました♫

チェロ協奏曲といえば、エルガ―の協奏曲かドヴォルザークの協奏曲が思い浮かぶのではないでしょうか(もちろんハイドンシューマンショスタコーヴィッチなどのすばらしい協奏曲もありますが)。

私はチェロ協奏曲というとやはりドヴォルザークの協奏曲が一番かなと思います。トランペットで何度かこの曲を演奏しましたし、下振りでオーケストラを指揮もしました。

そんな思い入れの強い曲ですが、この曲のベスト盤は、私の中ではやはりこれです!

               

そう、ロストロポーヴィチソリストに迎えた、カラヤンベルリン・フィルの演奏です。この演奏は、色々な名盤特集でも選ばれている演奏だと思います。この時代に不適切な表現かもしれませんが、男らしい、がっしりとした演奏とでも言いますか、チェロとオーケストラががっつりと向かい合った、まるで横綱同士ががっちりと組んだ相撲のような演奏だと思います。とにかく線が太いという印象を受けます。

1楽章は冒頭のクラリネットからして音量は小さいもののやはり太い密度のある演奏から始まります。そして弦楽器がメロディーを引き継ぎ、壮大に音楽が広がっていきます。協奏曲というよりは、ここだけで交響曲か?と思ってしまうほどの充実さです。その後、いよいよロストロポーヴィチのソロが登場するわけですが、先程も書きましたが、ベルリン・フィルの壮大さに真っ向に立ち向かうかのごとく、チェロの重厚な太い音が響き渡ります。本当にずっしりとした演奏です。音が途切れないと言いましょうか、とにかくいい意味で、音がずっと鳴り響いているチェロが奏でられています。ロストロポーヴィチの演奏の凄さが満喫できる演奏ではないでしょうか。このロストロポーヴィチの音に負けじと、またカラヤンベルリン・フィルをうまくあおりつつもコントロールしながらチェロを包み込んでいきます。しかし、チェロとオーケストラは見事に分かれて聴こえてきます。分かれていると書きましたが、調和しつつ音がきちんと聴きとれる演奏になっています。約15分間、ずっと音楽に引きこまれっぱなしになります。

次の2楽章はやはり音は太いと思います。これは好みの分かれる所でしょう。フルニエのような音色をいいとする人もいれば、マイスキーのような音色を好む人もいるでしょう。しかしながら、ロストロポーヴィチの演奏はしっかりと繊細さも表現しています。1楽章のソロの男らしさとは全く別次元の太くて優しい音が奏でられます。特に重音を奏でる後半のソロは絶品だと思います。そこに寄り添うベルリン・フィル木管もこの上もなく素晴らしい音色だと思います。

最後の3楽章は、軽くなりすぎてお祭り騒ぎで終わってしまう演奏が結構あるような気がするのですが、この演奏はその心配は全くありませんね。どっしりとした安定感のある演奏です。要所要所の金管楽器の響きも上鳴りすることなく、重心の低い広がりです。ある意味立派過ぎてドヴォルザークの土臭さといった点はあまり感じられないかもしれませんが、堂々とした演奏であることには間違いありません。コンマスとの絡みも絶妙で、オケとロストロポーヴィチが一体化しているかのようです。カラヤンがよくソロにつけているといってもいいのかもしれません。ただ、感情的にもっと動きそうな部分も比較的インテンポで奏でていると感じられるかもしれません。もっとエモーショナルなスタイルを求める人はいるでしょうね。

最後のソロが終了した後、トランペットがファンファーレを奏で、曲の終わりに向かっていきます。ここでもう一度しっかりと重心の低いベルリン・フィルが戻ってきます。(残念ながらこの曲の最後の音ですが、トランペットは無いんです。他の楽器が気持ちよさそうに最後の音を吹いているのをいつも聴いています‥‥)

 

というわけで、私の一番好きな「ドヴォコン」を紹介しましたが、ロストロポーヴィチがもうこれ以上の演奏はできない。これ以降、録音はしないと決めた演奏はこれです。

               

カラヤンの弟子である小澤征爾ボストン交響楽団との演奏です。小澤さんとロストロポーヴィチは80年代以降かなり親密な関係でしたね。サイトウ・キネン・オーケストラともR・シュトラウスの「ドン・キホーテ」などで共演してましたし、何より、小澤さんがN響との関係を修復したコンサートでは、このドヴォルザークのチェロ協奏曲をロストロポーヴィチと一緒に演奏していました。その演奏もなかなか良かったとは思いますが、ロストロポーヴィチのテクニック的な部分はこちらのCDの方がやはりいいのではないかと思います。カラヤンベルリン・フィルの演奏よりもテンポは速く、スタイリッシュな仕上がりです。こちらの方がロストロポーヴィチが自由に動いているので、こちらの演奏の方が面白いと思われる方も多いかもしれませんね。

カラヤンのこの協奏曲はとても魅力的だと思うし、カラヤンに合っていると思うのですが、ベルリン・フィルのシェフになってからはなんと、この録音を行った1968年から1969年の1年間しか演奏会で取り上げていないんです。とても不思議です。しかも、ロストロポーヴィチ以外とは演奏していないんです。(アーヘン時代は数回、違う方と演奏したという記録は残っています)ロストロポーヴィチしかこの曲のソリストは考えられないとカラヤンは考えたのでしょうか?ロストロポーヴィチとの共演がこれ以降ないようなので、(その理由もよくわかりませんが、政治的な部分もあったのかもしれませんね)どうしてこの曲をこの後演奏しなくなったのかはちょっとよくわかりません。今後、調べてみようと思います。

というわけで、今回は私の好きなチェロ協奏曲について語ってみました。冒頭で書いた、日本音楽コンクールの番組も面白かったです。NHKプラスなどで見てみて下さい。

それから、本日、夜中ですが、NHKBSのプレミアムシアターでカラヤンベルリン・フィルチャイコフスキー交響曲4・5・6番をリマスター版で放送するそうです。とても楽しめる演奏だと思います。私はDVDでも録画でも持っているので、今日はゆっくり寝ようと思います♫