karajanjanの日記

カラヤンについて語りましょう

カラヤンの命日

 1989年7月16日、ヘルベルト・フォン・カラヤンは81歳の生涯を閉じました。カラヤンが倒れたその場には日本人の大賀氏(当時ソニーの社長)がいたことは有名な話ですね。

 カラヤンの命日ということで、(こだわりすぎる必要はないとは思いますが)昨日は、ヴェルディの「レクィレム」をDVDで鑑賞しました。何度聴いても、何度観ても、カラヤンのヴェルレクは素晴らしいですね。カラヤンは3種類のヴェルレクを残しています。(海賊版は大量に残されているようですが)

 録音としてはベルリン・フィルとの1972年の演奏と、ウィーン・フィルとの1984年の演奏。映像としては、ミラノ・スカラ座との1967年の演奏と、ウィーン・フィルとの1984年の演奏です。個人的にはウィーン・フィルとの演奏が一番好きです。ミラノ・スカラ座との演奏は迫力は満点ですが、ベルリン・フィルウィーン・フィルとの演奏に比べると大味な演奏だと思います。しかしながら、覇気は一番感じられる演奏です。テノールは若々しい髭のないパヴァロッティが担当しています。ドミンゴだったか誰だったか忘れてしまいましたが、予定していたテノールのスケジュールがあわず、急遽、パヴァロッティに代役がまわってきて、これをきっかけに、カラヤンとの仕事が増えたとのことでした。

 昨日の命日は、私のお気に入りのウィーン・フィルとの映像を鑑賞しました。CDとDVDはおそらく同じセッションで撮られたものだと思います。ある意味ほとんど同じ演奏です。指揮棒を持たないカラヤンが指先まで使い、繊細にウィーン・フィルをコントロールしている様子が素晴らしいですね。この曲に限ったことではありませんが、カラヤンは歌詞を一緒に口ずさんでいます。歌詞やその内容が分からなくては深い解釈の演奏はできませんからね。約90分間の演奏に見入ってしまいました。何度も何度も聴いて、観ている映像なのですが、一時たりとも目が離せなくなってしまいます。

 

            

 昔、このヴェルディのレクィレムの下振りをしたことがありました。スコアもそれなりに研究し、オーケストラに稽古をつけたことがあり、そのことも思い出されました。

 その練習の時、ある個所で私は4拍で振っていました。その時は映像はあまり観ずに、楽譜と音源で勉強していたので、自分では4拍でとりたいと思ったのだと思います。しかし、練習後、オーケストラ側の何人かから、「そこは2拍でとる人が多いと思います」と指摘されました。「私が本番を振るわけではないので、それは本番の指揮者に合わせればいいですね」と説明させてもらい、帰宅後、カラヤンのDVDを観なおしてみたところ、カラヤンは4拍で指揮をしていました。こういったところからも、何となく自分で勝手に「カラヤンと同じことを考えていたんだ!」と思ってしまい、一層、カラヤンに親近感を覚えたのを記憶しています。

 晩年に演奏する機会も多かったこの曲、長いし、体力も使う曲ですが、カラヤンはとても好きだったんでしょうね。カラヤンが亡くなった後の特集番組で、カラヤンのアシスタント経験のある日本人指揮者、山下一史さんが、このレクィレムの演奏が凄すぎて、演奏後に観客が誰も拍手することができない時間がしばらく続いた。その後、拍手をしないといけないと思った観客がパラパラと拍手を始めたところ、カラヤンがパット拍手を制して、そんまま舞台から立ち去り、カーテンコールを行わずに演奏会が終了したというエピソードを話してました。これって、物凄いことですよね。誰も動けなくなってしまうなんて。

 色々なことに思いを馳せて、ヴェルディの鑑賞をした一日でした。